【雑記】高分子オタクの奮闘
サラリーマンは大変ですが、一人でいるよりは楽しいかなと思う今日この頃
どうもたかおです。
仕事への没頭
ブログ更新したいなあと思いながら、毎日鬼のように仕事をして、休日は死んだように寝ることを繰り返していました。なんだか今日はブログを書く気力があるかもしれないと急に思い立ち、久しぶりにPCの前で文章をつづっている次第です。
ここ数カ月の私
入社して2年、いつの間にか一つのテーマを仕切る立場になって仕舞い、その中で幅広く経験を積めているなと思っています。特に、自分の意見を仕事に上手に反映させることは一丁前にできるようになってきたように思います。細部まで理詰め・調整して、みんなが納得できる形で仕事を進める力は、方々でそこそこ役に立つだろうと思っています。
また、ずっと仕事のことが頭から離れない状況も続いています。家に帰っても高分子がぐねぐね、くるくる運動する様が忘れられない*1。高分子の運動は鬼ほど複雑なので、有機化学なんかと違ってシミュレーションがそこまで活用できません。マテリアルズインフォマティクスなどの活用もできますが、結局は切り口を正しく見極めるという意味でも、人間の脳みそに強く頼らないといけない。だからこそ楽しいし、やりがいもあるし、悩ましいわけです。
だめだ、幾らかこつけても、自分語りだなんて寒気がしますね(笑)。
ひとりの人間として、何かを生み出さなければならない
当初からこのブログでお伝えしていたりするわけですが、私自身はここに生きている以上「何かを成し遂げなければ」「何かを生み出さなければ」いけないという思いを強く持っています*2。それが自分の生きる意味であり、生きがいであるという自負があるからこそ、ここまで仕事に没頭できていると考えるわけです。ただ、仕事でもっと成果を残さなければ、自分の立つ瀬などいとも簡単に失われるという危機感も持ち合わせています。怖い。怖すぎる。これからも強い気概を以て乗り越えていこうと思う今日この頃です。
一方でこうした現状は視野狭窄を招きかねないなあとも考えています。客観的な視点で化学を、高分子を語れるように、ブログでの情報発信をうまく活用していきたいと改めて思います。
最後に
世の中は色々と厳しい状況ですが、剛直性高分子のように強靭に、渡り切って生きましょう。
では
*1:高分子の運動についてはこちら【なぜ】ゴムが伸び縮みする原理 - ばけまなび
*2:ここで他人がどうあるべきかは全く関係ない
2年ブログを続けた感想 感謝
人生どうでも永年方程式
どうもたかおです。
祝ブログ二周年
初めはどうせじきに飽きるだろうと思って始めたブログ更新ですが、早いもので初更新から2年も経ってしまいました。こんなニッチなブログであるにもかかわらず、この2年で総PVが40,000viewを超えていました。滋賀県米原市の人口超え。うわあすごい*1。日頃から当ブログを見てくださってる皆様方には感謝しております。
当初の目論見と現状
このブログを始めた意義の一つとして「生きた証を残す」「価値を生み出す」ことを掲げていました。自分の知っていること、学んだことを文章にして、誰かに共有することで楽しんでもらう、ということを考えていましたが、それについては継続して達成できていると個人的に思っています。
2年目の記事のうち、ダイラタンシーに関する記事二つは自信作ですね。
ダイラタンシーはこういう現象で、こういう系で起こるんだということを説明した上で、なぜそれが起こるのか、ということを丁寧に説明できたと思います。もっと勉強したいという方への参考文献のリンクも充実しています。時々見かける、ダイラタンシーの間違った認識についても補足を入れました。そういう意味では良い出来になったんじゃないかと思っています*2。
これを読んで「自分の理解って本当に正しいのかな?」「本当にこの説明があっているのかな」などと疑問を感じていただき、ああでもないこうでもないと楽しい議論に繋がれば幸いです。
現状ではこのようなしっかりとした総説を書く余裕がありません*3。そういった背景もあり小ネタが多くなるとは思いますが、これからも皆様の痒い所に手が届く記事をお届けできたらと考えております。要望があればコメントまで。難易度が高いのは頑張って書きます。
最後に
重ね重ねにはなりますが、今日までブログを一度でも開いてくださった方々、本当にありがとうございます。これからも化学のニッチな記事更新を続け、皆様に何かしらの価値を届けられるように頑張ります。
今後ともよろしくです。
では!!!
【なぜ】ゴムが伸び縮みする原理
どうもたかおです。
はじめに
みなさん、ゴムって何かご存じでしょうか。
おそらく多くの人は、「引っ張るとめっちゃ伸びて、手で離すとぱちんと戻る」弾性材料のことをイメージします。このような性質を「ゴム弾性」と呼んだりします。
こうしたと特性を生かして、ゴムは輪ゴムをはじめ、タイヤ、ホース、靴底など、さまざまな形態で様々な用途で使用されています。
では、ゴムはどうしてこのような性質を示すのでしょうか。
結論を先に言うと、
高分子鎖のエントロピー弾性+架橋の組み合わせで
ゴムの性質が発現する!
ということになります。
少し詳しく見ていきましょう。
ゴムとは
そもそもゴムとは何か、ということについては以下記事にてまとめております。
neuechemikalie.hatenablog.com要は、「高分子を架橋して出来る、弾性を示す材料」です。*1
ゴムと呼ばれるものの代表例として、ポリイソプレンを加硫した架橋体が有名ですね。
エントロピー弾性
つまりゴムの性質を知るためにはまず、ゴムを構成する高分子の性質の一つ、エントロピー弾性を知る必要があります。
高分子という分子は、下のように、セグメントと呼ばれる構成単位がつながってできたひも状の分子です。
こうやって絵で見ると、子どもが手をつないではしゃいでいるように見えませんか?
というわけで、この子供の両末端で手をつないでいる、引率の大人たちの気持ちになってみましょう。子供は元気いっぱいですから、手をつないだ状態でもあちこち走り回ろうとします*2。
大人同士が近くにいると、子供は自由に動ける範囲が増えます。ですので大人が子供を引っ張る力はそこまで大きくなくて済みそうです。
一方で大人が離れていると、子供はピンと伸ばされた状態で、自由に動ける範囲が少なくなります。だからといって子供のアクティブさは変わりませんから、大人は子供の動きに強く引っ張られますよね。力を抜きたければ大人同士が近くに戻ってくる必要があります。
高分子でも同じことが起きます。両末端が離れるほど、構成単位が動ける自由度が減り、両末端に張力が生じるのです。
この性質のことを「エントロピー弾性」といいます。
実際に理論的に記述すると、理想的な高分子一本に働く張力は、高分子の両末端の距離に比例することが導き出せ、まさにフックの法則と同様になることを示すことができます。
架橋による復元力
しかし、これだけではゴムの弾性を説明できても復元力(元の形態に戻る性質)を説明できません。この復元力は高分子の架橋によってはじめて発現します。
例えば、生ゴム(架橋していないポリ-cis-イソプレン)を伸ばした際には、一時的にゴムのような性質を示してくれますが、元の状態に完全には戻りません。これは高分子末端の運動が抑制されていないために、伸ばした後に重心が動いてしまう*3=元の場所に戻らないからです。
しかし生ゴムを架橋することで、下の図のように高分子の末端の運動が抑制されます。これによって高分子は伸びて弾性を示した後に元の場所に戻ってくれる=ゴムの形が復元するのです。
最後に
ゴムが伸び縮みする原理を説明しました。
改めてまとめますと、
①高分子に「エントロピー弾性」を有すること
②高分子が架橋されることで末端の運動が抑制されること
で伸び縮みが実現している、ということです。
当たり前のようにゴムが伸びる様を見ている我々からすれば、どうしてそうなるのか、というところに頭が回らないところですが、分子の構造と性質を理解すれば説明することができます。
この記事を読んだ皆様方には、スーパーの惣菜のパックを輪ゴムで止める時に高分子がダイナミックに動くさまを想像していただければ幸いです。
では