ばけまなび

化学について書きます あとは雑記

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半年ブログを続けた感想 感謝

浜風の匂いが春の磯の香になって参りました。

もう春ですね。

恋はしませんが。

 

どうもたかおです(元気)。

 

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阪神電車 武庫川のところで

3月もありがとうございました

生きた証を刻むんだなどとブログを書き始めてから半年が経ちました。今月は化学らしい記事を1つ書くにとどまり、あとはふざけた内容をつらつらと書き連ねるのみという結果となってしまいました。しかしながら、こうやってブログに飽きずに続けてこられたということそのものが、ある意味成果なのかなと思います。こんなブログに定期的に足を運び、見に来てくださった方、スターをつけてくださった方、読者登録してくださった方、みなさまに心より感謝いたします。

 

社会人として 今後について

特に隠し立てもしていなかったので今更ですが、4月より社会人として働くことになっています。正直不安98%、恐怖2%といったところで、新しい生活に胸をときめかせる余裕は微塵もありません。私は大そうな心配症な上に、社会というものが怖いものですから、こういった情けない思考に陥るわけです。

先日この情けなさと決別すべくブログを書き、覚悟を決めました。男に二言はあってはなりません。どんな苦境も乗り越える強い気概を持つこと、人より自分の弱さにまず打ち勝つということ、単純な人間な私はこの抽象的な二点のみに特化してあらゆるものを超克していきます。

時には弱音も吐いているかと思いますが、暖かい目で見守っていただけると幸いです。

 

社会人になってもブログは続けます。私のブログを心待ちにしている人はいないと思っているのであまり罪悪感もないのですが、更新頻度は間違いなく落ちます。それでもこの命を燃やし続ける限り、私にとっての居場所としてこのブログは存続させていきたいと思います。とりあえず言動にはより一層気を付けていきます。

最後に

改めて、このブログを読んでくださった皆様には多大なる感謝を申し上げます。今後とも、ニッチだけど面白い「ばけまなび」をどうぞご贔屓に。後悔はさせません。今後ともよろしくお願いいたします。

 

では

 

 

アスベストはもう使わない。じゃあ何使う?


アスベストのようにしなやかに、強く。

どうもたかおです。

 

 

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こんにちはクソサムネ 意図的にこのダサさを出すのは神業

はじめに

先日アスベストとはどのような材料か、どうして危険なのかについて、概要を説明いたしました。 

neuechemikalie.hatenablog.com

私も、記事を書くまで知らなかったことがたくさんあったため、おそらくはこの説明は皆さんにとって十分ではないと思います。しかしながら、この記事を契機に、私だけでなく、皆さんの疑問点を洗い出せたものと思います。

(まだお読みで無い方はお読みいただけるとこの記事がより面白く読めるかもわかりません。ただ前回と直接のつながりはないので読まなくても問題はないです。)

 

アスベストは、非常に多岐にわたる分野で利用されてきた汎用的な材料ではありますが、我々の身体を蝕む危険性をもった材料です。そのため現代においてはその利用が禁じられています。

 では、これまで大量に使われていたアスベストの代わりは何が務めているのでしょうか?調べてみた結果を簡単に紹介したいと思います。取り扱う範囲が極めて広大ですから、全てを詳細に説明しようとすると益々煩雑になりかねない*1ので、詳細は参考文献に託すとして、ここでは代表的な例のみを紹介します。

 

相も変わらず長い記事にはなっており、各論が充実してしまっています。従って、上の「もくじ」より、気になるところのみをピックアップして読まれることを推奨します

 

アスベストの危険性

アスベストが危険な理由については前回記事にて記述しているので改めて引用させていただきます。

 

アスベストはとても細い繊維で、これを敷き詰めて材料として使うわけです。それがバラバラになってホコリのように宙に舞えば我々の肺に入ってきます。しかもアスベストは分解されにくい強い繊維です。肺に入ってもホコリなどと違って分解されません。長時間肺に滞留することで肺やその周辺にダメージを与え、最終的に肺がんや中皮腫を引き起こすことになります。

アスベスト「肺に入るから」危険なのであって、アスベストそのものが毒物であるわけではありません。アスベスト「細い繊維状の物質」だから危険であるという認識が一般的です。つまり、アスベストと類似の形状、大きさがあり、体内で分解されないような物質であればアスベストと同じような危険性を持ちうると言われています。これはスタントン・ポットの仮説と呼ばれている考えで、直径が小さく(<1 μm)長さが長い(>10 μm)物質程、肺に入って滞留しやすく、発がん性などの恐れを強く持つと言われています。

 

こういった背景から、代替材料にはある程度直径が太い繊維材料が使われているようです。

 

アスベストの代替材料

アスベストは汎用性も高く安価という強みがありましたが、これに完全に対応する材料というものはないというのが現状のようです。そのため、いろいろな材料の中から、各々の用途に適したものを選ぶような使い方をしているようです。

 

代表的なものとして、人造ガラス質繊維人造結晶質繊維有機繊維の分類に当てはまるものがあるそうです。

 

人造ガラス質繊維

アスベストのような繊維に変わるものとして、ガラスやセラミックスから人工的に繊維を作ったものを人造ガラス質繊維というように呼ぶようです。これらの原料の種類の違いによって、いろいろな種類の繊維が作られるとのことです。

 

ガラス長繊維・グラスウール

ガラス長繊維グラスウールと呼ばれるものは、名前の通りガラスからできています

ガラス長繊維はガラスを溶かした状態で、細い穴に押し出し乾かすことで糸にすることでできます。

グラスウールは、溶かしたガラスを細い穴が側面にあいた容器をぐるぐる回転させることで、遠心力で細い糸を押し出すことで作ります。綿あめを作るのと同じ作り方です。

ガラス長繊維プラスチックを補強するために使われたり、グラスウールアスベストの重要な役割であった防音材・断熱材としての役割を果たすようです。

これらの直径はアスベストよりも太く(ガラス長繊維は6-15 μm、グラスウールは1-9 μm程度とのこと。)*2、長きにわたる使用実績からも、ほぼ発がん性がないと考えられています。

 

スラグウール・ロックウール

高校化学でやった気がするのですが、製鉄をする過程で「スラグ」という副生成物が出てきます。これを用いて作ったのがスラグウール、天然の岩石を溶かして原料に使ったものがロックウールと呼ばれます。

作り方はグラスウールと同じく綿あめ製法です。直径は1-9 μmとこれも直径が比較的大きく、発がん性もほぼないという評価を受けています。

グラスウールと同様に、断熱材・防音材として使われるほか、耐火材料として建物に使われているそうです。

 

セラミックファイバー

アルミナ(Al2O3)とシリカ(SiO2)でできた繊維をセラミックファイバーというように分類しているようです。耐熱温度が他の代替繊維と比べてかなり高く(1000℃以上)化学プラントなど、過酷な用途で利用されているようです。

 

ただし、直径が上の二つよりも細いというのもあり(1-3 μm)、人体に対する発がん性が疑われています。そのため日本では使用に伴い種々の規制が行われているようです。

 

人造結晶質繊維

これに関する情報があまり見つけられなかったので薄い情報にはなりますが、いくつか簡単に触れておきたいと思います。先ほど説明したものはガラス質(非晶質)でしたが、こちらで紹介する物は結晶質ということで、結晶でできています*3

ウィスカー

「猫のひげ」を意味する、ひげみたいな形をした細い結晶を一般にウィスカーといいます*4。このタイプの材料はアスベストの性質である、耐摩耗性(激しく擦っても擦り減らない)を持っており、自動車のブレーキパッドなどに使用されるそうです*5

 

炭素繊維

炭素繊維は、文字通り炭素(C)が主成分としてできた繊維です。炭素繊維が何かについて書くだけで一つの記事になってしまう気がするので、詳細は触れませんが、新幹線や飛行機のボディに使われるほどの強度を持った強い繊維であると思っていただければいいと思います*6

 

炭素繊維は丈夫で強いだけでなく、耐薬品性耐熱性があるので、アスベストの代替材料としての使用例としては、ガスケット(化学プラントなどで配管のつなぎ目などにつけて気密性を持たせるための密閉剤みたいなやつ)があるようです。

 

有機繊維

有機繊維とは、一般に高分子から作った繊維のことを指します。アスベストは鉱物なのに、高分子材料がその代わりの役割を果たせるのか?というのを疑問に思う方もいるかもわかりませんが、案外と役に立っているようです。有機繊維は一般に10 μmのものが多く、肺に入りにくい(ため安全)と考えられています。

種類がそれ相応にあるようですが、今回はいくつかピックアップして紹介したいと思います。

 

アラミド繊維

アラミド繊維とは何か、無理くりいうなら雨合羽の記事に使われるようなナイロンの親戚で、強度がものすごい強い奴のことをいいます。

化学の言葉で正確に言うならば、芳香族のみで骨格が出来ているポリアミドの総称を指します*7*8。日本ではケブラー® トワロン®が有名だったりします。この繊維は耐熱性耐摩耗性に優れていて、ブレーキパッドガスケットなどに使用されているとのことです。

 

-------以下はオタク満載なので破線下部まで飛ばしてもらっても構わない----------

高分子は一般にヒモ(ないし鎖)に例えられ、ぐにゃぐにゃのイメージがありますが、アラミドという高分子は高分子は比較的硬いひもで真っすぐになっています。アラミドの高分子を平面上に一列に並ばせて、分子間で水素結合を作らせることで、分子が真っすぐに縦に並んでできた繊維が出来ます。三本の矢は引っ張っても曲げてもなかなか壊れない、というたとえがありますが、何本もの高分子が縦に並んで固定されているこの構造がアラミド繊維の強さの秘密です。*9

 --------オタク満載終わり----------

 

ビニロン繊維

ビニロンはポリビニルアルコール(PVA)*10という高分子をアセタール化することで得られる高分子で、日本発祥の材料です。

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ポリビニルアルコール ヒドロキシ基が主鎖についている この一部がアセタール化されてできた物がビニロンである。

日本発祥というのもあって、非常に優れた説明ページがインターネッツにも豊富にあるので、詳細についてはここで記述しません。気になる方は是非ご自身で調べていただきたいです。

ビニロン繊維もまた非常に丈夫な繊維として知られており、アルカリ性にも耐性があること*11セメントとの相性(接着性)もよい*12ことから、セメントの強度を強める補強材として、アスベストの代わりの役割を担っています。アスベストの代替材料としては、建材用途に使われているみたいです。

 

最後に

長くなりすぎた(焦り)

最後までさらさら読まれた方、本当に尊敬いたします。

今回は使用できる図もほとんどなかったため、見にくいブログになってしまいました。大変申し訳ありません。

 

何はともあれ、この長い文章から、アスベストというたった一つの材料から脱却するのに、極めて多くの材料が動員されていることが、分かっていただけたのではないでしょうか。私は図らずも、アスベストがいかにすごかったかということを痛感してしまいました()。一方で、ほかの材料の魅力も改めて知ることが出来、個人的には満足しております。

 

アスベストは単なる過去の失敗ではありません。前回も申し上げましたが、地球環境にも、人体にも考慮した材料を作っていくためにも、こういった過去の事例を知り、生かしていこうとする努力が大切だと思います。失敗は生かさないとね。

 

質問感想忌憚なき意見はコメントもしくはTwitterの方にどうぞ。皆さんからのレスポンスが私のモチベーションにつながります。今後とも化学に関する記事をあげていきたいと思っているのでよろしければ読者登録よろしくお願いします。

 

では

 

参考文献

人造鉱物繊維の概要

https://www.nichias.co.jp/research/technique/pdf/382/03.pdf

石綿製品の使用禁止と石綿代替繊維の現状

http://www.jashcon.or.jp/publish/pdf/71/71gijutujoho.pdf

アスベストとは何か?

https://www.jstage.jst.go.jp/article/gkk/35/1/35_1_3/_pdf

アスベスト代替繊維ビニロン

https://www.jstage.jst.go.jp/article/senshoshi1960/46/12/46_12_772/_pdf/-char/ja

*1:私もすべてを理解できているわけではない(ないし勘違いしていないとも言い切れない)と思うので、無責任なことも言えないのだ。

*2:直径と発がん性の関連については前記事を参照

*3:非晶質とは、結晶質とは、についてはこちらの参考文献に詳細が記されているので参考にしていただきたい。

*4:断面積5 × 10^4 μm、アスペクト比10以上の単結晶という細かい定義があるので上の定義は正確ではない

*5:参考文献としては優れていないが、例えばチタン酸カリウムウィスカー - Wikipediaに記述がある。

*6:説明に納得がいかないという方はそもそも炭素繊維って? | トレカ® | TORAYを読むことをお勧めする。

*7:性質ならびに作成方法などはアラミドとは? | Teijin Aramidというページが直感的でわかりやすいかも

*8:多分芳香族を意味するAromatic とポリアミドのAmideを合わせた造語なんだと思う。ソースなし

*9:詳細についてはこちらのページが詳しいので参考されたい

*10:スライムの原料として知られている

*11:分子鎖中にヒドロキシ基があるため

*12:やはりヒドロキシ基の存在が大きいと思われるが、詳細の機構については私は知らない。知っておられる方がおられたら是非コメント欄に追記願いたい。

修了⇒社会と自分との闘いのはじまり (無価値な雑記 ななたび)

たかおです。

実をいうと化学の記事を書くより、くだらない(と私が思っている)雑記を書いた方がPV数が多いのです。ストーリーを一生懸命に練って組み立てた文章より、何も考えずにつらつらと書いたつたない文章の方が読まれるという事実は、少し私を複雑な気持ちにさせます。しかし私の現状をこのインターネッツの海に揺蕩わせて、私が本当に生きていたという事実を残せるというのは少なからず喜ばしいと思っています*1。馬鹿馬鹿しいと思う方はブラウザバックよろしくお願いします。器の小さい、度量もない人間の馬鹿馬鹿しい生き様をみて笑ってくれるという方は続けてお読みください。

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もうすぐ春ですね


ついに2020年3月23日を以て大学院を正式に修了する運びとなった。とはいっても修了式なんて大層なものは、目で補足することのできない物体を前に中止の運びとなり、私たちは証書を受け取りにいくだけということとなった。

受け取りは15分程度で終わり、みんな何かを名残惜しむことなんてなく流れるようにその場を去ってしまった。最後に話したい人も結構いたのだけど、コミュ障な僕には数人をなんとか捕まえて、頑張ろうね~なんて些細な会話をするのが関の山だった。そんなこんなで何かを名残惜しんで「終わった」なんて実感がかかりきる前に、「終わり」はあっという間に過ぎ去ってしまったわけである。

 

そのあと研究室のメンバーと写真を撮って、後輩に軽く挨拶して、BOSSには「まあもうええやろ」みたいな感じにとっとと追い出されて、ここでも何かの余韻を感じる前にすべてが過ぎ去ってしまった。

 

3年という長い時間を研究室で過ごした。6年間をこの大学で過ごした。こうもあっけなく終わるのか、という実感。今ここに立っているこの瞬間は決して可逆的ではないのに、ややもすればまたこの瞬間が戻ってくるんじゃないか、という感覚。

 

結局のところ、私は全く以って未来を見つめることが出来ていないのだと思う。みんなは次のこと、自分が進むべき道へとしっかりと目を向けている。ウジウジと過去に固執して、何も見ようとしていないのは結局のところ私だけであって、一向に成長していないのも私だけなのだと思う。皆は液体のように素早く流動していくのに私はいつまでたっても流動していかない、緩和時間の長い流体になっている。

 

私は大学院を修了した。あと1週間もしないうちに社会との厳しい闘いが始まる。決して負けてはならない闘いである。そして、未熟な自分を超え、社会で生きるのに耐えうる自分を作らねばならないという、自分との闘いも意味している。覚悟を決めなければならない。

 

嫌なこともあるのは間違い無いし、己の未熟さゆえにますます馬鹿にされるときが来るのだと思う。しかしながら耐え忍び、,前進していかないといけない。ある種の孤独な闘いに勝ち続けなければならない。己の未熟さを超え続けていかねばならない。

 

またこういう形で小言を吐くことがあるかもしれない。でも私は自分がやると決めた道を極力貫くし、そのために闘い、命を削り続けるということをここに誓うことで、このウジウジと決別したいと思う。

 

問:これは大学院を修了した人間が書く文章のレベルか?

答:到底そうには思えない。

 

やれやれ。

 

では。

*1:リスクを抱えていることは十分に承知している。